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    包括的歯科治療の重要性

    お口の健康を守るための包括的歯科治療
    「包括的な歯科治療」は当院で大切にしている診療理念です。小さなむし歯であれば、複雑な治療は必要ないため、対象になる歯の治療だけで済むかもしれません。しかし、むし歯や歯周病が進行していたり、欠損が生じたまま放置していたり、歯ならびや噛み合わせ問題がある場合などは、そう簡単にはいきません。

    永久歯の本数は上下に14本、合わせて28本(親しらずを除く)あり、これらは前歯、犬歯、臼歯に分けられ、それぞれに大切な役割があります。上述の問題があると、抜歯が必要になったり、もともとあった歯の位置がずれてしまったり、上下の歯が噛み合わないといった状態が起こります。そして残った歯に過度な負担が生じ、新たな問題が増えて治療の難易度が上がってきます。

    例えて言えば、地震で地盤沈下が生じて家が傾いたり、柱が折れたり、窓が割れたり、ドアがしまらなくなったりなどの状態と同じです。このような場合、もしその住人が外れたドアしか気にならないので(歯科で例えると痛みがないので)、ドアだけを設置してほしいと言われたらどう思うでしょうか?

    通常であれば、ドアだけでなく傾いた家をもとの状態に戻したり、地盤を改良したりと、住人が安全に住める環境をしっかり整備したいと考えるでしょう。
    歯科治療においても、その場しのぎの歯科治療ではお口の健康は守れません。お口の中全体を考慮した治療が問題を繰り返さないためにも重要であるため、当院では患者さんに自分の口腔内の状態をご理解いただけるよう様々な取り組みをしております。

    実際の歯科相談から
    当院では矯正やインプラントを取り扱うサイト(◇矯正歯科ネット ◇インプラントネット)で全国から寄せられた質問にお答えしています。
    ここでも「包括的な歯科治療」の必要性を感じるケースがありましたので、ご紹介します。

    〜矯正歯科ネットの矯正歯科相談より〜
    投稿者 まか さん (32才 )
    質問:元から下顎の側切歯が2本ともなく、矯正中に医師から上顎の側切歯を抜歯するか下顎にインプラントで2本追加すると言われました。
インプラントは個人的に絶対したくないのですが、奥歯や犬歯が前歯に比べて小さめなので、見た目が変になるので上顎の側切歯もできれば抜きたくありません。上顎の側切歯ではなく、4番目の歯(奥歯)を抜くことは可能ですか?
それか下顎と上顎で同じ歯を抜かないといけないのでしょうか

    回答(猪狩):どの治療法を選択すればいいのか、悩まれるのもごもっともかと思います。しかし4番目の歯を抜く方法では上下の噛み合わせが整わないため、おすすめできません。他の方法としては、下顎の左右側切歯部をダイレクトボンディングにより修復する方法や、プレスセラミックスを歯の裏側から接着する方法があります。いずれの方法もほとんど歯を削る必要がなく、審美的な修復が可能です。また元に戻せる治療のため、将来インプラント治療に変更することも可能です。

    今回の相談ケースは、様々な治療方針が考えられ、正解はありません。1本1本の歯の評価は勿論、歯ならびや噛み合わせの状態、お顔と歯列のバランス、全身疾患や生活習慣など、様々な問題を考慮した矯正治療が必要になります。

    今回の例を通して、当院の大切にしている歯科治療に対する考えをご理解いただけたら幸いです。そして治療を通して患者さんが口腔の健康に対する価値観を高められるよう、スタッフ一同サポートして参ります。

    執筆者情報

    院長・理事長・歯科医師

    Igari Hiroaki

    お口の健康は全身の健康と密接に関わっています。歯科は他の診療科と違い、自然治癒はほぼありません。歯科治療のほとんどが置換医療になるため、予防が何より大切です。当院では、患者さん一人ひとりがお口の健康を取り戻すために必要な問題点を共有し、治療や予防に取り組んでおります。

    「歯を残す歯周治療」、「歯を生かす矯正治療」、「失った歯を代替するインプラント」を3本の柱として、過不足のない包括的な歯科治療を行ってまいります。

    治療や予防を通して、患者さんのQOL(生活の質)向上のお役に立てると幸いです。

    経歴

    • 1988年
      福島県立磐城高等学校 卒業
    • 1996年
      東北大学歯学部 卒業
    • 2003年
      いがり歯科医院開業

    所属学会・資格・役職等

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