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1988年福島県立磐城高等学校 卒業
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1996年東北大学歯学部 卒業
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2003年いがり歯科医院開業
- 日本歯周病学会認定 歯周病専門医
- 日本口腔インプラント学会認定 口腔インプラント専門医
- 日本臨床歯周病学会 認定医
- 日本臨床歯周病学会 歯周インプラント認定医
- 日本顎咬合学会 認定医
- 日本顕微鏡歯科学会
- 日本デジタル矯正歯科学会
- 日本アライナー矯正歯科研究会
- 臨床歯科を語る会
- 日本禁煙学会 認定指導医
院長ブログ
インプラント治療後のケア・メインテナンスについて
自宅でできるインプラントのケア方法
歯ブラシの選び方
インプラントのケアは、天然歯やその他の人工歯と同様、自宅での歯磨きが基本となります。使用する歯ブラシは、特別なものを選ぶ必要はありません。普段から使っている歯ブラシで構いませんので、毎食後ていねいに磨くようにしましょう。電動歯ブラシもインプラントに対して使用可能です。ただし、信頼できるメーカーの製品を正しい方法で使う必要があります。
歯ブラシの使い方
インプラントは、人工歯と歯ぐきの境目付近に汚れがたまりやすくなっていることから、そこを集中的にブラッシングすることが大切です。その際、かための歯ブラシでゴシゴシと強めに磨くと、上部構造やアバットメントが傷ついてしまうことがありますので、十分にご注意ください。できれば、やわらかめの歯ブラシを使って優しく磨くようにしましょう。歯磨き粉は使用しても問題ありませんが、顆粒が大きいものは人工歯と歯ぐきの間に入って残り続けることもありますので、標準的な製品を選んだ方が良いです。
補助的な清掃器具・ケア用品の活用
天然歯とインプラントとの間の汚れは、デンタルフロスや歯間ブラシで取り除くようにしましょう。インプラントの根元の部分は、タフトブラシというヘッドの小さなタイプの歯ブラシが有用です。その他、マウスウォッシュやデンタルリンスなども適宜、ご活用ください。ちなみに、インプラント治療後でもフッ素が入った歯磨き粉やアルコールが含まれるマウスウォッシュなどは使用可能です。
歯科医院で行うインプラントのケア方法
インプラントは、治療後のメインテナンスが必須となっています。定期的なメインテナンスを怠ると、インプラントにさまざまなトラブルが生じるだけでなく、故障した際の保証も受けられなくなってしまうためご注意ください。ここではそんなインプラントのメインテナンスの内容をかんたんにご紹介します。
インプラントとお口の検査
メインテナンスではまずインプラントとお口の状態を検査します。具体的には、インプラントのぐらつき、歯周ポケットの有無・深さ、歯ぐきの炎症、かみ合わせの状態、お口の衛生状態などを調べます。とくにインプラント周囲炎を発症していないかどうかは、メインテナンスにおける重要な検査項目となります。お口の中に異常が見られなければ、プロフェッショナルケアへと移行します。
インプラントのクリーニング・スケーリング
インプラント周囲にたまった歯垢や歯石を取り除きます。とりわけ歯石は、歯科医院で受けるスケーリング(歯石除去)でなければ落とせないため、インプラントにおいてもメインテナンスは必須となっているのです。クリーニングでは、細菌の温床となるバイオフィルムもきれいに取り除けます。
TBI(ブラッシング指導)
歯科衛生士が磨き残しの多い部分を指摘し、インプラントを上手にブラッシングできる方法をレクチャーします。デンタルフロスや歯間ブラシを効率よく使う方法も説明し、セルフケアの充実をはかっていただきます。
ケアしなかった場合に想定されるリスク
インプラントにおけるセルフケアやプロフェッショナルケアが不十分だと、インプラント周囲炎という病気を発症することがあります。
インプラント周囲炎とは?
インプラント周囲炎とは、インプラント特有の歯周病です。はじまりは通常の歯周病と変わりません。歯と歯ぐきの境目に歯垢や歯石がたまり、細菌が繁殖します。その結果、歯ぐきが腫れるのですが、インプラントの場合は歯周病の進行が速いです。炎症反応が歯ぐきから顎の骨まであっという間に広がるため、気づいた頃には重症化していることも珍しくありません。
インプラント周囲炎の症状は?
インプラント周囲炎では、歯ぐきの腫れや出血、歯周ポケットが深くなるなどの症状が見られます。インプラントがグラグラと動揺するようになったり、歯ぐきから膿が出るようになったりしたら、末期に移行したものとお考えください。顎の骨が破壊され、人工歯との結合も失われて、インプラントが脱落します。
メインテナンスでしっかり予防
定期的なメインテナンスを受けていれば、インプラント周囲炎の兆候を早い段階で見つけられます。早期に対処できれば、インプラントを失わずに済むことでしょう。また、メインテナンスで学んだブラッシング方法を毎日のセルフケアで実践すれば、インプラント周囲炎を予防することも難しくなくなります。
まとめ
今回は、インプラント治療後のケアとメインテナンスについて解説しました。インプラントは、頼りになる素晴らしい人工歯+人工歯根ではありますが、ケアとメインテナンスを怠ると、さまざまなトラブルに見舞われますので、その点は十分にご注意ください。インプラントを10年、20年と使い続けていくためにも、毎日のケアをていねいに行うことが大切です。
当院の詳しいインプラント治療に関してはこちらをご覧ください。
執筆者情報
院長・理事長・歯科医師
猪狩 寛晶Igari Hiroaki
お口の健康は全身の健康と密接に関わっています。歯科は他の診療科と違い、自然治癒はほぼありません。歯科治療のほとんどが置換医療になるため、予防が何より大切です。当院では、患者さん一人ひとりがお口の健康を取り戻すために必要な問題点を共有し、治療や予防に取り組んでおります。
「歯を残す歯周治療」、「歯を生かす矯正治療」、「失った歯を代替するインプラント」を3本の柱として、過不足のない包括的な歯科治療を行ってまいります。
治療や予防を通して、患者さんのQOL(生活の質)向上のお役に立てると幸いです。